臀部ファントム

 今日は昨日までの喧騒が嘘のように静まり返った職場。何となく雑用をこなしていたら定時になったので帰宅していたら、どうにも嗅いだ事のある匂いが。どうやら、高校二年の時の秋から冬にかけての匂いっぽい。
 あの頃はまだ若かった。良くわからん洋楽をちょっとだけ聞いて拒否反応起こしたり、普段25分かかる駅までの道を部活のやつとダッシュして15分でついたり、橋の中間地点でルパン3世愛のテーマを全力で歌ってみたり、チャットで気付いたら夜が明けてたり、彼女もおらん癖に女と二人でクリスマスイブに映画見にいったり、そこクラスメイトに目撃されてて翌日下駄箱で「でもまさか佐々木がなあ」とか笑われて、それが何か妙に可笑しかったり。
 まあ何年か経つけど、未だにあの高校からの帰り道、寒空の下で市外の夜景を遠くに見下ろしながら坂を下るっつーあの感覚に勝るものは中々現れ無いなー。そういう意味で今日は全徒歩で帰って正解だったな。思い出す触媒は偶に予期せず遭遇するから面白い。