逆転煎茶

 私の所属しているボランティアはまあなんとも変な所で、先輩後輩、老若男女に関わらず全員が下の名前を呼び捨てで呼び合ってる。あだ名がある場合はそれを使うけれど、それも圧倒的に名前からの改変。だからというか何というか、年齢の差みたいなものを普段殆ど感じる事はない。私が慣れ親しんだ人には、年上であっても口が悪いのはきっと子供の頃からこの団体に所属してたからだと思っている。いや、ほんとほんと。
 まあそんな訳で下の名前を普段から呼び合う事によって、奇妙な逆転現象が往々にして生じる。名字と名前の立場だ。基本的に名字を呼ぶのは外部の人間、つまり子供達の父母だったりとかする訳だけれど、何年も一緒にやってきたまあ仲間と言っても差し支えのない人達に対して、あえて名字で呼ぶ事で自分と相手、そして回りに「仲が良いんだ」と思わせる。通常これは逆の場合がほとんどだ。
 「かおる」と呼ぶなら普通だが、「熊田」と呼ぶと何か掟破りを出来るような仲みたいに見える。「ブタゴリラ」だったらもっと仲が良いか、新手のいじめかも知れない。普段下の名前で呼んでいる為、名字をお互い知らないなんて事はざらで、だからより一層相手の事を知っている気がする。
 因みに私は子供から「けんちょこちょん」と呼ばれているのだが、出典はいまだに謎だ。