ななつのこ

 読了した、面白かった。16年も前の作品で、短大生の女の子が日常で起こった少し不思議な出来事、発端はスイカジュース事件、を作中に出てくる「ななつのこ」という小説の作者に「こんな事があったんですけれどね」と送り、それに対して「それは多分こういう事なんだと思います」と解答が返ってくるというミステリらしからぬ形状をとってて、それが一話完結形で7編あって、だけど全部の話が最後の一話の伏線になってるってのが面白い。作中の「ななつのこ」の話と、短大生の周囲で起こる出来事が少しだけリンクしてるというのも入れ子構造のようで楽しい。
 随分前の作品だから、時代がわかる記述があると思わず古いなーと思ってしまう、フィンガー5とか、たまとか出てきちゃうんだぜー。
 文庫版の解説にも書いてあったけれど、白いタンポポはこの一編を読む為だけでも買う価値はあると思った。加納朋子の名前は覚えておこう。