一番

 先日読んだななつのこにこんな台詞があった。

「ほら、誰に対しても八方美人みたいなトコあるでしょ。だから誰も私のことを嫌いじゃない代わりに、一番好きでもないの。二番目か、三番目なんだよね。わかってんだ、私が悪いってことはね」

 私も相当な八方美人であるので、これを読んだ事によって大層鋭い刀でぶった切られた感バリバリ。人から嫌われないように生きる方が楽だし、こっちが気を遣うだけで済むならと思ってしまうよね。
 私は末っ子だ。兄が我を通す子どもだったから、自然と私は自分を出せないような雰囲気で、家では全然喋らない子だったのよな。堀宮で言えば井浦の最初の設定に似てた。昔は家ってテレビ見てゲームする場所だった。別に親が嫌いとかじゃなくて、そういう役割だった。親への反抗期って存在しなかった。
 外でも、今他人に言っても完全に笑い話だけど、小学生の頃は相当大人しかった。人の感情の機微には鋭めで、「人の顔色伺う」のオートスキル発動してた。少年団で人の笑わせ方を体得してからは、嫌に饒舌なガキになった訳だけど。まあそれでも今に至るまで、八方美人っぽさが抜ける事はなかった。
 誰かにとっての一番でありたいって望みはまあある。良いよね一番。並み居る強豪の中を勝ち抜いてる訳だ。でもそいつとだけ仲良くってのも出来ないねー無理だな。誰の方を向いても同じくらい仲良く出来たら良いなあとか思ってる時点で、一番になる事もなさそう。嫌なやつくらいは嫌いって言えたらまた違うかねー。